氷帝・立海・青学混合のBRに巻きこまれ二日が過ぎた。人数もかなり減ってきており、乾は歩きながら死んでいった仲間の名前の上に赤線を引いた。
「…青学は残り俺と不二か…かのままだと会う確率は75%…」
次の放送まで生きていればの話だがな、と小さくつぶやく。
「……誰だ…」
突然、声がした事に驚きポケットにしまいこんでいたサバイバルナイフを手に持ちながら歩を進めると、木の根元に日吉が座っていた。
「アンタは、青学の……」
「乾だよ、日吉」
「……フン」
何が気に食わなかったのかは知らないが日吉は顔をそむける。その息遣いは荒く左足はぱっくりと切られ左腹部からはゆるやかな血が流れている。右腕もジャージの青が見えない程赤く染まっており額からも血を出していた。
「……氷帝は……」
「ん?」
「…氷帝は、後何人…残ってます、か?」
しゃべる事も難しいのだろう。途切れ途切れに乾に問うと、逆光眼鏡を中指で押し上げ名簿を見た。
「氷帝は跡部と日吉、それと宍戸に鳳だよ」
「宍戸さん、と…鳳……」
意外だったのだろう。少しばかり乾を見上げたがまた、すぐに見上げるのをやめ小さくつぶやくように問うた。
「乾さんは、…人を殺し、ました…か?」
「!…いや、俺は何故か…いつも見送る側だったよ…」
さみしそうで悲しそうな声に日吉は少し胸が痛かったが、すぐに驚く事を伝える。
「青学の、不二…さんは俺が殺し、ました…」
突然の事で言葉を失い、2人の間に沈黙が流れたが日吉がそれをさえぎった。
「跡部、さんに…伝えて…下さい」
「……何をだい?」
日吉は一呼吸するとかすれた声でつぶやく。
「無様な、死に方…したらゆるさない、……と」
「わかった伝えて、おくよ…」
「よろしく…お願…い、します……」
礼を言うと日吉の目から輝きは無くなった、開いたままの目を閉じさせ乾は眼鏡を外す。空を見上げ、つぶやいた。
「また、見送る側だったな……」
その頬に伝わるのは涙なのか汗なのかは本人にはわからなかった。
見送る側
..... fin.
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バトテニの話です。乾が主役っぽい…
青学のメンバーって苦手な人が多いので書くとしたらこんな風になっちゃうんですね…きっと。
でもこのBR小説は上手く出来たかなぁって思ってます。
日吉の遺言、日吉らしく出来たかなぁとちょっとばかり不安ですが…(笑
八咫鏡 背景写真:ノコギリ葬
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