「あの、レイ…今日も…天気が…良いの…」

その次の言葉も大体わかった。人の部屋に入ってまでソフィーヤがしたがるのは
限られている。

「……散歩、行きたいんだろ?どうせ」
「………行きませんか…?」

レイは溜め息を吐いて本を閉じた。どうにも彼女の潤んだ瞳に弱い。

「行くぞ、ソフィーヤ」

ソフィーヤの小さく白い手をとり二人は部屋を後にした。


確かに天気が良い。散歩に丁度良い日だと感じる。

「…風、気持ち…良いですね…」
「…あぁ」
「…散歩、出て…正解でしたね…」
「……あぁ」

他人から見たら二人の淡々とした会話はつまらないものだろう。しかし二人にと
って淡々とした会話でも大事なものなのだ。

「おい、ソフィーヤ」
「……はい?…何ですか…レイ…」

自然と二人のつながった手に力がこもる。

「明日も、天気が良いと思うか?」

その言葉にソフィーヤは目を丸くした。レイからそんな質問が来るとは思っても
いなかったのだ。

「そうで……有って…欲しいです…」
「明後日もか?」
「……はい、明後日も…です…」

ソフィーヤはおっとりとした口調でそう答える。

「なら、生きるぞ」

先程の会話と関係無い言葉にまた目を丸くした。だがレイの美しい空色の瞳は真
っすぐ前を見据えている。

「明日の空の天気が気になるなら今日を、明後日の空が気になるなら明日を生き
るぞ……いや、生きるんだ」
「……レイ…」
「もし、叶うならお前と生きて行きたい……例え有限でも、だ」

抱きついた。ソフィーヤもレイと同じ想いでその想いを行動で示したのだ。
碧い空は残酷な程優しく美しい―――…。



空は いつまでも碧く 穏やかで

fin.








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封印の剣。何が書きたかったんでしょうね?私は。
私の中のレイソフィは言葉を使わなくても通じる、って感じなんですよね!
少しシリアスになりがちなんですが…甘くするのって大変ですね、うん(笑
こう手をつなぐので精一杯な二人が可愛いです。

八咫鏡  背景写真:水珠

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